箸蔵寺まで紅葉を!?

金曜日は出張で帰宅が遅くなり、パラの準備ができなかった。 いつもより30分早く5時半に起きて出発準備を行う。 思ったより準備が早く終わったのでエリア到着が6時40分。 今日は誰も居ないはずなのに主任が既に吹き流しを立ててくれている。 関心、関心! 新人はこうでなくっちゃ♪
風は少々強いが飛ぶには問題ない。主任は一回目のテイクオフで右前方にあったフラリーマンのキャノピーの方に傾いてしまい、「踏んではいけない!」と無理やり左に進路を変える。 このため大きなロールが入ってちょっと危ないかと思ったが、浮きがよくて無事舞い上がる。 しかしその直後、パチン!という音がする。 何だ? と思ってよく見ると左ブレークを握っていない。 離してしまったブレークの延長ハンドルがプロペラに当たったようだ。 これに驚いた主任はアクセルを戻して左前方の駆け上がりの木に向かって突っ込み不時着となる。 当然ビデオを回していたフラリーマンは大喜びだ♪ 救出後、二度目のテイクオフは力が入りすぎて前被り。 主任は三度目の正直でやっと舞い上がる。

主任のゴタゴタでテイクオフが遅れたフラリーマンは燃料満タン、フロントでテイクオフを試みる。 ガバっと立ち上げたところグワ〜ンと後に引っ張られる。 この時足がもつれてドッスンと尻餅をついてしまう。 この手のテイクオフ失敗は初めてだ。 これもエリアの祟か!? 重いエンジンを背負ったままキャノピーを広げ直して今度はクロスでテイクオフ。 しかし、ドラゴンアクセルはトリガーを握った状態でクロスでキャノピーを立ち上げられないことが判明する!! 仕方なくトリガーを離して立ち上げたあとでトリガーに指をかけて、前を向いてエンジンON! 今度は何とか無事に飛ぶことができた。 今日の目的地は箸蔵寺だ。 主任はすでに高度600mで川島城に達しているが、高度200mまではほとんど前に出ない。 ほとんどホバリング状態で高度200mを越えるとやっと前に出始める。 柿原堰を越えて中央橋に達したところで高度500m。 主任は阿波麻植大橋手前まで達しているとのことだが見つけることができない。 気流が悪くアクセルを踏むことができず、主任都の距離をなかなか詰めることができない。 善入寺島中央付近で高度800mに達するとやっと大気が安定して、アクセルを踏むことができるようになった。 ここから速度を上げて主任を追撃する。 阿波麻植大橋を越えたところで高度650m、瀬詰大橋手前の主任を発見する。 無線でそのことを知らせると「なんか揺れます〜〜! 怖いです〜〜!!」との返事が!? えらく南側を飛んでいるので、その付近は高越山のせいで気流がよく乱れるので、もっと北側を飛ぶように指示する。 北寄りに進路を取った主任だがそれでも「揺れるので怖いから帰ります!」と連絡が入り、そのままUターンしてエリアに向かっている。 「高度800m、非常に安定しています。 上昇して下さい。」と連絡するが返答がない。「上昇!! 上昇!! 上昇!! 高度800m、安定!」 何度も連絡するがフラリーマンの無線を無視したかのように高度を上げずにエリアに向かっている。 先ほどまで普通に通信できていたのに不思議だ。 主任と交差した時に「無線はいってますか! 聞こえますか?? 取りあえず返答下さい!」と連絡すると「もう、帰らせて下さい〜〜!!!」と一言叫んでそれっきり連絡なし。 そのまま一番気流の悪い高度のままで帰って行く。 なんじゃこりゃ??? 怒ったフラリーマンは「言うこと聞かん奴やなぁ!! もう、何も指示しません。 好きにして下さい。 交信終了!」 これだけ人の言うことを聞かない新人は初めてだ。 一体何を考えているのか分からない??
一人となったフラリーマンは高度800〜900mの安定した気流の中を時速20〜25kmで西に向かう。 穴吹を過ぎると徳島平野の幅は急に狭くなり、左右の山が次第に険しくなっていく。 久しぶりに透明度が高いので眺めはいいが、気温2度と厳しい寒さが身に凍みる。 剣山は雪景色だ。 久しぶりの穴吹以西なので先週撮影した吉野川に架かる橋の写真の続編を撮ることにする。 穴吹橋から始まり貞光、三加茂と幾つかの橋を高度1000mから撮影する。 記憶によると吉野川に架かる橋は同じ種類のものがないそうだ。 大正から昭和にかけて建設された当時東洋一の吉野川橋。 この橋の建設が決まった際に徳島県の土木担当者が「世界に誇る橋にしなければならない!」と有名な増田淳に設計を依頼し素晴らしい橋を完成させた。 この精神が今でも受け継がれ、吉野川に架けられる橋には技術のみならず景観的にも世界の誇れる橋を架けようと努力されているそうだ。 徳島県!! やるなぁ!!
ということでフラリーマンによる橋の空撮が始まる。 まずは赤が鮮やかな穴吹橋と歩行者専用のふれあい橋を撮影。 淡い緑色の小島橋、白いコンクリートの美馬中央橋、赤いアーチが目を引く美馬橋、美馬中央橋とよく似た作りの青石橋、青い鉄橋の東三好橋。 ここまで来ると三加茂の町が大きく広がってくる。 ほとんど白に近い淡い水色のダブルアーチの角の浦大橋、青い桁の三三大橋、古いコンクリートの支柱と赤い吊り橋のコントラストがシュールな美濃田大橋。 向かい風のため、ここまで来るのに約2時間を要する。 燃料は残り5L弱だが帰りは追い風に乗って1時間ほどで帰れるだろう。 あと0.5L、約10分だけ西に向かうことにする。
ふと下を見るとニルバナのキャノピーが、山突飛のランディング上からテイクオフしている。 おお〜〜! 懐かしい絵柄だ。 500mほど離れてはいるが望遠レンズで撮影しながら後を追いかける。 よく見ると箸蔵寺のロープウェイと紅葉の帯が目に入る! 残念! 10分では到着できそうにない。 残念ながら今回はここからの撮影でUターンしかない。 燃料タンクを16Lの大きなものと交換しなければ・・・ ニルバナの機体はなんと讃岐山脈の山肌をスレスレに上昇してどんどん山奥に入っていく。 全く道もないそんな山奥でエンジンが止まったらどうするつもりなのだろうか?? とてもフラリーマンには真似のできないフライトコースだ。
東に向くと速度は55km/hと絶好調で前に進んでくれる。 高度はやはり800m付近が安定しているのでそのままキープだ。 この速度だと逆光の中、高越山が目に入るが西から見たこの山は他の山に埋もれてしまい、東側から見たような優美さがない。 それでも穴吹までの距離の目印として役に立つ。 行きとは違い帰りは下を走る車にも負けないぐらいの速度なので気持ちがいい。
次第に広がる徳島平野を眺めているうちに気が付けば岩津橋まで到着する。 おお!! 土柱を見に行ってみよう!! 南寄りの風に乗って土柱に向かう。 今日は空気が澄んでいる上、日が高くなっていることもあり今までになく綺麗に土柱が見える。 何枚か写真を撮って吉野川に戻ろうとするが、意外に南の風が強く前に出ない。 高度を下げつつ瀬詰大橋方向に向かうことにする。 高度を下げると気流が悪く揺れが大きくなるため、再度上昇しながら南東方向に飛び、やっと吉野川沿いに到着。 やはり河原の上は安心だ。
善入寺島上空でシェフから無線連絡が入る。
 シ「見えんけど、何処だ??」
 フ「はーい! 善入寺島上空です。」
 シ「えらい長い間飛んどるけど燃料いけるか?」
 フ「えーと、あと2L少々かな?」
 シ「それは危ないぞ!?」
 フ「追い風、55km/h出てますからいけると思いまぁす。」
ここからは高度を下げながらの飛行なのでほとんど燃料は必要ない。 中央橋、柿原堰を越えるともうエリアは目の前だ。 エリア周辺の気流は悪くランディングは難しい。 ピッチとロールを抑えつつ何とか無事に着陸する。 燃料残量は2L。久しぶりの3時間フライトとなった♪