峠の我が家

前回と同じく脇町の高速道路のガード下、8時に待ち合わせなので6時半に起床する。 少しだけ支度をして7時10分出発。 いや〜〜、空気が重たくて寒い寒い! なんとか、ホッカイロ入りのミトンが手がかじかむのを抑えてくれる。 7時45分に待ち合わせの場所に到着すると既にカントクが待ってくれている。 無線機の設定を行って8時に出発。
ここから無線機が大活躍♪ フラリーマンのヘッドセットは少々手抜きをしたため時速60kmを越えるとエンジンのスパークノイズで会話が聞き取れないが、カントクのヘッドセットは絶好調! 普通に話すだけできれいに聞き取れる。 全く風切り音もバイクのエンジン音も入ってこない。 当然、フラリーマン自作のノイズキャンセルマイクを使用している。 ゆっくり走りながらしょうもない話をするのは思ったよりも楽しい。 会話を行う事でバイクのスピードが気にならなくなり、安全スピードで走るようになるのは新発見だ。

無線での話の中で、カントクが朝食を取っていないとのことなので吉野川オアシス横の公園でカップうどんを食べることにする。 なかなかきれいな公園で気持ちがいい。 ゆっくり食事をしながら、「ここまで飛んできたんやね」などと話をしながらの朝食だ。 今日の走行行程は、前回の1/3と短いので余裕だ。 ここから池田まで出て買い出しをする事にする。 駅前のショッピングモールに入るとセグウェイ試乗会を行っているではないか! 珍しいものが大好きな二人は早速受付をしたが、1000円以上の買い物のレシートが必要という事で先に買い出しをする事にする。 今回、山の中を走り続けるので明日のお昼までの食料を仕込んだところ7600円というとんでもない金額になった。 ここは肉が高いようだ。この後、この高いお肉が悲惨な事になってしまうが、それはのちの話。
セグウェイは思ったよりスパスパ動く。 まるでスキーのように動いてくれる。 カントクは最初の説明だけでいきなりスラロームをやってのけるほどの上達ぶりだ。 しかしこれで100万円は少々高いおもちゃかな?? 移動手段としては自転車の方が上だ。
ここからは本格的なツーリングだ。 池田から銅山川に入り上流に向かって進んで行くとだんだん渓が険しくなって、きれいな紅葉と相まっていい雰囲気となってくる。 対向車もほとんどなく気持ちのいいツーリングだ。 新宮ダムを越えて次の金砂湖を作っている柳瀬ダムで12時になったので昼食にする。 ここで軽く麦芽飲料を飲んで弁当を食べて今後のコースについて相談をする。 当初はここから新居浜に出て、西条から寒風山へ入る予定だったが、もう下界に降りたくないということで急遽、別子山から林道を走って高知の大川に抜け、早明浦ダム湖沿いから道の駅木の香経由で寒風山に入ることにした。

ここではゆっくり休んで1時半に出発。 木々に覆われたセンターラインのない狭い道を軽快に走り抜ける。 途中佐々連鉱業跡に向かう道との分岐点を、319号線との分岐点と誤ってしまったが、それ以外はコースを外れることはなかった。 319号線との分岐点からは2車線の広い道となり、巡航速度が上がっていく。 森の中の軽快なワインディングロードだ。
別子山から林道に入ると、僕ライダーに出会った四国カルストに取り付く前の道そっくりな様相となる。 これはこれで気持ちがいい。 しかし、通常の道路地図に出ていない道なのでいつダートになるかわからない。 それだけが気がかりだ。 順調に走っていると峠の直前にアスファルト舗装がコンクリートに変わっている。 通常、コンクリート舗装の後はダートが待っている場合が多い・・・。 峠の向こうはダートかもしれない。 (^_^;
しかし、直ぐにアスファルト舗装となってくれて、そのまま大川まで順調に距離を縮める事が出来た。 よかったよかった。 この峠越えは正解だった。 大川から30分ほどの木の香に到着し冷えた体を温める。 前回のツーリングよりも温泉がうれしい。 1時間以上体を温めて麦芽飲料を飲んで出発。 ここから峠道に入って寒風山トンネル入り口に到着。

しかし、ここで思わぬ試練が待っていた。 まず、峠の我が家に既にテントが張られている。 4〜5人用の大きなテントに3〜4人組のおじさんおばさんが大声で話が盛り上がっている。 (T_T) あかん・・・。 こんな騒音の中では落ち着いて寝ることもできない。 仕方がないので林道の奥に進もうとすると・・・。 なんとゲートが閉まっているではないか!! 11月23日をもってこちら側のゲートを閉め、面河川の閉鎖は11月30日なのでそれまではそちらから入ってほしい、と書いてある。 ばかやろ〜〜!! 今から面河経由で林道に入れるはずがないだろぉ〜〜〜!! ゲート横も人がやっと通れる程度でバイクが通れるほどの隙間はない。 ほとんど絶望的な状況だ。
ところが捨てる神あれば拾う神あり♪ これからどうするかと思慮していたときに、XXXしていた△△△がちょうどXXXて○○○てくれたではないか! しかも明日も○○○なのだ!! やはり人は諦めなければ道がある。 こんな幸運な巡り合いも旅の醍醐味だ。
林道に入って5分ほどでちょうどいい場所を見つけて野営の準備に入る。 バイクのライトの明かりで野営の準備も順調に進む。 やはりバイクは便利だ。 テントを張った後バーベキューの準備にはいる。アスファルトの上はコールタールの匂いがひどいのでコンクリートの上に網を置いて炭に火を付ける。 30分後、炭も順調に着火し、スペアリブを焼き始める。 さらに15分後、ちょうどスペアリブが焼きあがったと思った瞬間! パァ〜〜〜ン!!! と炭が大爆発!! 半径7〜10mに飛び散ってしまう。 もちろんスペアリブも吹っ飛んでどこに行ったかわからない。 慌てて枯葉に飛んだ炭を踏み消して飛散した炭を集めたがほぼ2/3が吹っ飛んでしまい回収不可能。 網の上の食料も全滅。 安物の炭の爆発だろうと残った炭を追加して再度スペアリブとソーセージを焼き始める。 15分ほど経過してガスコンロで温めた日本酒も保温のために網の上に載せたところで、再びパァ〜〜〜ン!!?? と爆発が起こり、炙っていた食料と温めた日本酒が全滅・・・。 しかも、まだ焼いていないメインのお肉も炭と灰でめちゃくちゃな状態。 あか〜〜ん!!(T_T)

よくよく見てみると、飛び散った残骸の中にコンクリートの破片が混ざっている。 炭の温度差でコンクリートの表面が熱による歪で爆発したのが真相だった。 この2度の爆発でほぼ食料は全滅。 アスファルトの上では匂いで焼き物も出来ず、炭の在庫ももうない。 山の枯れ木を集めて焚火をして暖を取り、明日の朝食の「どん兵衛肉うどん」を食べるという寂しい晩餐となってしまった。 ま、それはそれで熱燗と乾きもの、それに肉うどんが加われば楽しく会話も進む。 気が付けば紙パックの日本酒は全てなくなり就寝となった。
(後日談)
コンクリートの上で焚火などをすると、コンクリートの表面が熱膨張で剥離破裂を起こすそうだ。 今後、火をおこす場所は気を付けないといけない。