三嶺

11月3日(土)文化の日
三嶺登頂は今年の春から計画していたが、天候不順、仕事、家庭の事情などで延び延びとなってついに11月。 やっとチャンスがやってきた。 少し山頂の紅葉には遅いが山腹の紅葉を楽しむことができるだろう。
朝7時にコーナン集合。 しかし嬉しくなって6時半に到着してしまう。 (^_^; イナさんも10分前に到着。 荷物をまとめて7時出発となった。 空はどんよりと曇って小雨まで降りだす始末だ。 昼からは天気が良くなるそうだが多少心配だ。
事前に神山経由の道が通行止めと聞いていたので今日は貞光経由で山に入る。 美馬まで高速を使い名頃の駐車場に到着したのがちょうど9時。 駐車場は既に満車状態でびっくり! 十数年前に三嶺に登った時は狭い駐車場に3〜4台の車しか止まっていなかったのに、最近の登山ブームの影響だろう。 イナさんが家に電話すると「剣山で二人遭難。 50人体制で捜索中。 山頂の気温は-3度。」とのこと。 どうりでヘリがパタパタと上空を飛んでいると思った。 登山ブームはいいが、こんな開けた人の多い山で遭難とは如何なものか? パッキングは、テント寝袋は各自。 食料はイナさんで飲み物はフラリーマンが担当する。
9時30分、高度900mの名頃駐車場から登山開始。 缶ビール24本とワイン500mLが肩に重くのしかかる!? と思いきや、意外に大したことはない。 渓流釣りの荷物に比べると軽いぐらいだ。 考えてみるとウエーダーも釣り道具も持っていないのだから軽いはずだ。 これならいける! と軽快とはいえないが着実に高度を稼ぐ。 途中、上から下りてくる若いカップルとすれ違う。忘れ物かな? 高度1050m歩き始めてから25分で休憩。 これだと空荷のペース以上だ。 少しオーバーワーク気味なので歩く速度を落とす。 休憩から15分ほど歩くと仰向けに倒れた登山者を仲間が看病しているところに出くわす。 先ほどの救急車のサイレンは、遭難者ではなくこの方のためにやってきたようだ。 サポーターの人数も十分で手伝うこともないようなのでそのまま登山を続けることにする。 林道に出ると高度は1200m。 時間は10時30分。 なかなか良いペースだ。 ここで軽く休んでいると救急車が林道までやってきた。 救助が始まったようだ。 倒れたのが林道近くでよかった。
ここからダケモミの丘まで高度差300m。 30〜40分毎に休憩を取りながらゆっくり登山を続ける。 途中休憩の甘露飴が旨い♪ 12時ちょうどにダケモミの丘到着。 完璧に予定通りだ。 ここで荷物を下ろして楽しい昼食♪ 昼食はカップ焼きそばのデカ盛りにキャベツと豚肉を炒めた具をたっぷり入れた特製焼きそば!! ワイルドにガソリンストーブに着火してお湯を沸かす。 あっと言う間に焼きそばの完成! また焼きそばにビールがバッチグ〜〜!!だ。 アルコール7%のストロングオフを選んだのは荷物の軽量化を図る手段だが、確かに7%はストレートでは濃い! 水で1.5倍に薄めてちょうどいい。 何だかんだと二人で5本も飲んで横になって休憩だ。 ただし風が冷たく防寒着を全て着ても寒い。 手袋なしでは手も痛いぐらいだ。 今晩の冷え込みは大丈夫だろうか?? カップやきそばの容器は夜のカレーの皿に使うので綺麗に拭いてパッキング。 ビールの缶は木にぶら下げて、明日の帰りに回収だ。

ここから約30分で森林限界を越える。 目の前から高い木が消えて視界が広がる。 心配した天気も好転して天頂は雲ひとつない。 振り向けば次郎笈と剣山が青空に映える。 さっきまで見上げていた塔丸を見下ろしている。 体はヘトヘトだがこの景色で気持ちは高ぶる。 1時過ぎには最後の水場に到着! 景色を楽しみながら水の補給だ。


2時15分に水場を出て2時50分に山小屋到着!! やったぁ〜〜!!! ついに登り切ったぞ〜〜〜!! 小屋横のテン場に荷物を降ろし短く刈った熊笹の上に寝っ転んで空を見上げる。 吸い込まれるように青い! いや、青ではなく紺色に近い。 しばらく休んで当然ビールで乾杯だ! テン場はすり鉢の中にあるので風は殆んど吹いておらず非常に温かい。 ダケモミの丘で寒さを心配したのがウソのようだ。
ゆっくりしていると、登り始めにすれ違った若いカップルが上がってきた。 挨拶をしたあと「あの時は忘れ物でしたか?」と聞いてみたら、倒れていた人のために登り口まで戻って救急車の誘導を行ったそうだ。なんと、最近の若者は大したものだ! 日本の未来は明るい。


今日は5時にはテン場を出て山頂に向かう予定なので、テントを張って夕飯の準備を行うことにする。 今晩のメニューはカツカレーだ。 ペミカンに水を入れて、再びススをまき散らしながらワイルドにガソリンストーブに着火する。 (x_x)☆\(ーー; ビシ!! やはりガソリンは火力が違う。 あっと言う間に湧き上がり、カレーのルーを放り込んで軽く煮詰めればカレーの完成だ。 この後、無洗米に水を入れて炊飯の支度を完了。 ミックスナッツを食べてビールを飲んで5時が来るまでゆっくりする♪
日暮れも近づきテン場出発! デイパックにこっそりウインナーとビールを4本入れて出発。 途中、ヘッドランプを忘れた事に気が付き走ってテン場まで戻る。 アホや・・・。 10分ほどで山頂に到着。 山頂の北側斜面はコメツツジに溶けずに付着している霧氷がキラキラと輝いて美しい。 ここでは360度、視界を遮るものは何もなく、頭上にも雲ひとつない。 遥か地平線の向こうに石鎚が見える。 陽は次第に輝きを弱めて肉眼で直視できるほどになってくる。 その太陽が地平に差し掛かると急に動きを速くしたようにあっと言う間に地表に消えてしまう。 時間とともに東から次第に闇が空を覆い始め、陽の光はその闇に飲み込まれていく。 その間の無限のグラデュエーションに包まれると、外界での悩みがアホみたいに思えてくる。 ちさい! 本当に人間は小さい!! じっとその様子を眺めなていると感動で目頭が熱くなってくる。 気が付けば陽の光とともにビールが4本とも消えてしまったのであった・・・。 (x_x)☆\(ーー; ビシ!!

 
辺りは1m先も見えないぐらいの完全に闇に包まれる。 ヘッドランプを頼りにテン場に戻る事にするがヘッドランプでは足元しか見えないので道の全貌がわからない。 イナさんのヘッドランプは暗すぎて役に立たず、フラリーマンのLEDランタンを使ってついてくる。 あまりにも真暗で先が見えないためイナさんは恐くてたまらなかったようだが山頂の全貌を知っているフラリーマンには不安はない。 2度3度、道を探しながらやっと本道に辿り着いて一安心。 しばらくすると左に池を発見し山小屋に無事到着する。
テントに戻るとまず準備してあった飯盒に火を入れる。 火力調整の苦手なガソリンではなくガスストーブを使う。 20分ほどでご飯が炊きあがり飯盒をひっくり返して次はカレーを温め直す。 カツも適当に切って鍋で温める。 10分ほどどでカツカレーの出来上がり!! これがうまいのなんのって、イナさんもフラリーマンもガッツリ山盛り2杯もカレーを平らげてしまう。 やっぱり山はカレーでしょう!! (^o^)/ テントや座布団に霜の降りる氷点下の中、熱い宴会は続く。 疲れた体にビールが染み渡る。 やっぱりこんな時にはビールが旨い!! 飲んで食べて、語って騒いで、夢の様な時間に浸りながら宴会は続く。 しかしながら、驚異的な疲れのもとこの宴会を長時間続ける体力は残念ながら残っておらず、なんと午後10時前には爆睡した二人であった。

朝6時に起床! 節々の痛みも筋肉痛もなく体の調子はすこぶるいい。 もう一山は楽勝のフラリーマン! それに比べて同い年というのにヘロヘロのイナさんを無理やり起こし、歩いて2分の小屋上の小さなピークに向かう。 ピークではハイキングクラブと思われるの大学生が3人、ご来光を待っている。 昨日とは逆に次第に陽の光が闇を包み込んでいく。その様子には力強さがあふれている。 地平線に彼方にある空気の層から太陽が顔を出した瞬間、後にそびえる三嶺のビークが赤く染まる。 そんな風景に感動しながら記念撮影を行う。 一緒にこの自然のドラマを仰いで感動を共有した仲間の学生さんと少し言葉をかわしてからテントに戻る。

今朝は気温は−3度と昨夜と同じぐらいで今朝は思ったよりも冷え込まなかった。 朝の献立はホットサンドを順延して、カップ麺とソーセージ。 なぜか二日酔いも全く感じていないフラリーマンは絶好調だったがイナさんは二日酔いで麺類のほうが良いようだ。 ビールが6本残っていたので下りの荷物を軽くしようと朝から3本飲んでしまう。 それにしてもビールはうまい!! (x_x)☆\(ーー; ビシ!!


ゆっくりビールを飲みながら食器を片づけや寝袋、テント等の収納を行う。 イナさんは、昨日の荷物が腰に来たそうで寝込んでいる・・・。 仕方がないのでイナさんのザックには寝袋と防寒着のみ。 残りの道具はフラリーマンのザックに詰め込む。 それでもザックはスカスカで、80Lのザックの容量には驚かされる。 9時15分にテン場出発。 少し山小屋を見学してから下りに入る。 ビールが減って荷が軽くなる予定だったがトラブル発生のため逆に今日の荷物の方が重い。 荷が重い時は、たかが下りと舐めてはいけない。 常に下りでひどい目に合っているフラリーマンは油断しない。 大股で歩かないように気をつける。 これで膝やくるぶしを痛めないようにする。 休憩はまめに取る。 登りと違い、下りの場合は疲れてしまうと休憩では回復しない。 疲れる前に休むのがベストだ。 というように気をつけてはいても下りはキツイ。
頂上直下の水場で水を補給して多少休憩♪ ここを過ぎると森林限界が終わってしまうため展望がなくなってしまうのでゆっくりこの風景を楽しむことにする。 9時40分水場を出発。 
ここからダケモミの丘までの高度差300mでふくらはぎと太ももはパンパンになってしまう。 まだ2/3の行程が残っている・・・(T_T) ダケモミの丘からは旧道を選択する。 理由はこちらの方が行程が短いからだ。 道は急だが高度はどんどん下がってくれる。 膝が笑うのでストックが欲しい。 何度も休憩しながらキツイ下りをこなしていく。 とにかく登りよりもキツイ!! 改めて下りの大変さが重い荷物とともに身に染みる。 くそ〜〜〜! まだまだか・・・、と下っていると林道が目の前ではないか!! 高度は1125m。 もっと先かと思っていたので嬉しい誤算だ。 ここでちょうど12時になったのでお昼にする。

ガソリンバーナーを出してイナさんにパン焼き用の網でパンを焼いてもらう。 火力の調整が難しい。 フラリーマンはコーンビーフを温める。 焼いたパンにカラシとマヨネーズをたっぷり付けてレタスと暖めたコーンビーフを挟んで出来上がりだ♪ 「うまい、うまい!!」とイナさんは大喜びだ♪ 疲れた体、綺麗な空気、登山の達成感、美しい紅葉、林道に出た安心感、そんなものがスパイスになってコーンビーフがごちそうに化けてくれる♪ 当然残ったビールも平らげて上機嫌!
12時40分に出発。 やはり林道は歩きやすい。 軽快に歩きながら紅葉を楽しむ。 とは言っても足はガクガクだ。 30分ほどで駐車場が見えてくる!! やったぁ〜〜! やっと到着だ!! あとは木綿麻温泉に浸かってゆっくりしよう!! (^o^)/
(反省点)
1.ビール24本を持って上がるのは問題なし!? ほんまかい??
2.水は2Lでは少し足りない。 追加で500mLの水筒が必要
3.下りにストックがほしい! 下りはやはりキツイ!!