山の神様に会いに菊千代谷へ

12月1日(土)
8時に自宅出発。 9時過ぎに菊千代に取り付く。 ほんの1時間少々でこんな山奥まで来る事ができるのだから徳島はすばらしい! 荷物のパックを行い9時半に車止めを出る。 菊千代に入って直ぐに岩に遡上を阻まれ小さく巻くことになる。 しかも滑って転倒し右の向脛をしたたか岩に打ち付けた。 その上この先は更に厳しい。 あかん! ウェーダーなしでは何ともならない。 イナさんがシーズンオフでウェーダーを洗って片付けたというので「ま、なんとかなるよ」とウェーダーなしで来たのが大失敗。 これでは何ともならない。 
以前から菊千代谷の左岸のかなり上部に林道が通っている事を知っていたので、沢を登るのをあきらめて林道を使うことにする。 ここで、真上を見て斜面を観察。 かなり急な斜面ではあるが、雑木が立ち並んでいるのでそれを足掛かりにすれば登れそうだ。 イナさんも大分経験を積んできたので問題無いだろう。 ということで林道入口まで戻らずにこの斜面を直登することにする。 ビール24本を含む30kgを超える荷物が肩に重いが、スタート直後ということもあり体は非常に元気だ。 ガッサガッサと高度を稼ぎ10時半、高度差100mほどで林道の石垣を発見する。 
ここから林道を進むが、この林道は結構荒れており処々ガレたり崩れたり、間伐材が道を塞いだりで多少難航する。 林道に出てから15分。 沢にかかる丸木の一本橋を越え少し歩いたところで下に沢が見えてきたので、荷物を下ろして確認に行く。 滝はまだまだ先のようだ。 更に15分ほど歩いたところで沢の流れによって林道が大きく崩れた場所に出る。 ロープも付いているがそんなものを使う必要もなくそこを乗り越える。 次の沢の手前の尾根で傾斜がゆるんでいる部分を見つけた。 山の神の下の滝までの距離感がないため何処で降りるべきかが判断できない。 ただこの先、沢が大きくすり鉢状に山を削っている地形となっているため次の尾根までの距離が大きくなりそうだ。 少し早いかもしれないがここから沢に出ることにする。 道なき杉林の中を降下するが、A谷でのテン場までの直滑降よりはずっと楽だ。
沢に出たところで地形判断する。 磁石では川は南北に流れていることからまだ水車の滝には出ていない。 後方の地形は山の斜面が険しいく谷が狭いため山の神の下の滝にも出ていないようだ。 恐らく東斜面の様子から見て、目の前の尾根を越えたところに山の神の下の滝があるようだ。 荷物を下ろして単身調査遡上する。 予想通り10分ほどで東の尾根向こうに山の神の下の滝を発見。 直ぐに荷物まで戻りイナさんと山の神の下の滝まで沢を登る。 が、やはり手ぶらとは全く違い荷物はキツイ。 沢を飛び越えて対岸に移動する際にイナさんは空荷で飛んでもらい、足の長いフラリーマンが荷物を担いで飛び越える。 長い足は得だ! (^_^;
山の神の下の滝は既に紅葉を終えて少し寂しい色合の中を流れている。 それでも長い年月をかけて岩を彫り込んだこの滝には威厳が感じられる。 滝壺は10年前とは大きく異なり、土砂が流されて川砂利の岸がなくなってしまっている。 直径で2倍、面積にして以前の4倍ぐらいのサイズになっているように思う。 これでは予定していたテントを張る場所が全くない。 仕方がないので川岸から1mほど上がった場所を無理やり整地してテン場と焚き火場を作る事にする。 当然その前にビールで乾杯だ!! 昼食は豚バラの野菜炒めを放り込んだ具たっぷりの焼きそば! 今日の燃料はアルコールのみ! ウィスパーライト+アルコールで実験通り何の問題もなく燃焼してくれるが、風が強くてお湯が沸いてくれない。 新兵器のアルミ風防もあまり役に立っていない。 やはりアルコールには無理があるようだ。 なかなかお湯が沸かなかったので更にビールが進む。 (x_x)☆\(ーー; ビシ!! 15分以上待ったところでやっとお湯が沸いてくれて昼食だ。 こってり焼きそばが疲れた体にこれがうまぁ〜〜〜い!

昼を食べたところでテントを張り、焚き火場の上に雨対策のヘキサタープを張る。 山用ではなく対角方向4m少々の通常アウトドア・キャンプで使う大型のものだ。 コーナンブランドでポールを除けばタープ本体は軽量で十分山でも使える。 火を下で使うことからターブが火で溶けないように高さは3m以上と十分に取ることにする。 なかなか格好良く張れたのでイナさん大喜びだ!
次に焚き火の準備だが、新兵器Liイオン電池式の電動丸ノコのデビューだ。 電動ジグソーと違い切れる切れる!! キュイ〜〜〜ン、キュイ〜〜〜ンと木を切りまくる。 電池が切れる前に電池のオーバーヒートで止まってしまうため、2個の電池を交互に使いながらの作業だ。 あっと言う間に十分な量の薪が出来上がる。 これだけの薪を手で切ろうとすると大変だろう。 この新兵器は大正解だ! ただ、軽量化を図って丸鋸のカバー等、全て取り外したため、木屑が舞い上がり全身木屑だらけになってしまう。 ノコの外カバーだけは必要なようだ。
宴会の準備も整ったところで、時間は午後3時前となり調査捕鯨ならぬ調査捕魚に入る!? 目的は「アメゴの顔を見る」だ。 まだ3時前というのに谷間の日暮れは早い。 光が弱く既に夕方のような雰囲気だ。 滝壺でミミズを餌に魚信を探す。 竿は4.5mと短いため大渕には全く向いていない。 ウェーダーもないため淵に立ち込む事もできないので全然ポイントまで届かない。 本流竿を持ってくればよかった・・・。 しかしながら二度目の振込で魚信がある! いるではないか!! その度20分ほど全く魚信もなくなり表層の魚は逃げてしまったような雰囲気となりアメゴの居場所がわからない。 水温が低いのでオモリを4号からBBに換えて底を狙うことにする。 さらにくるぶしギリギリまで水に入り淵の奥を狙う。 するとビビビ〜〜っとしっかりした魚信がぁ!! やったぁ! ついにアメゴの顔を見ることがでいた。きれいな魚体を見て大満足! 当然、禁漁期間なので写真を撮ってそのままリリース。 目的を達成したので納竿とする。 気が付けば4時前になっている。
フラリーマンのアホな調査捕魚の間に、イナさんが焚き火のメンテを行ってくれたおかげで、落ち着いたいい火で燃えてくれている。 さぁ〜〜て焼き肉だ!! 肉を食ってビールを飲んで、語って騒いで空を見上げる。 そしてまたビールを飲む。 火は順調すぎて肉が焦げるので、水をかけないといけないぐらい絶好調だ。 肉が旨い!! ビールが旨い!! 8時過ぎには小雨が降りだしたがタープのおかげで全く問題ない。 なんと10時頃にすべてのビールと日本酒を飲み干してしまい、残念にも宴会は終わってしまったのであった・・・。 もっとビールが欲しい〜〜〜!! (x_x)☆\(ーー; ビシ!!




12月2日(日)
朝7時に起床。 昨夜の雨は止んで既にイナさんが焚き火を付けている。 電動ファンをフラリーマンのテントに仕舞っていたせいで、タッパーの蓋で扇いで着火したそうだ。 直ぐにテントから電動ファンを取り出して焚き火の火力をアップさせる。 あっと言う間に焚き火は元気になってくれる。 この電動ファンは素晴らしい!!
二日酔いの頭に活を入れるために、甘い桃の缶詰を開けることにする。 桃缶とは山では本当に贅沢な食べ物だ。 お湯を沸かしてきつねどん兵衛が朝食のメインだ。 どん兵衛が出来上がるまでは昨夜の宴会で食べ残したソーセージを焚き火で炙って食べる。 これがまたうまい!! (^o^)/ ビールが切れてしまったのが残念だ。 朝食も終わり撤収作業に入る。 飲み干したビールの缶を回収し、寝袋、タープ、テントと片付けていく。 10時前には何とか出発準備が整うが、向こう岸に渡る必要がある。
ウエーダーがあれば楽勝なので、ここはゴミ袋を簡易ウェーダーとする。 アホな格好で川を横切り、山に取り付くことにする。 昨日の下りを登れば良いのだが、ウェーダーなしで川を下るのは危ないと思い、この場所から斜面を直登して林道に出ることにしたのだ。 昨日の林道に出るまでの登りに比べると傾斜も緩く楽勝の直登!! なんて話しながら登ったところ林道に出る前になぜか尾根の頭に出てしまう? なんと、支流の谷が「すり鉢状」に思ったより大きく広がっているのだ。 高度差で100m以上登ったのでどちらにしても林道に出るのはそう遠くないはずだ。 このまま尾根を登り林道を探す。 右側の岩壁を避けるように獣道を登る。 更に高度差100mほど登ったにもかかわらず道らしきものには出くわさない?? しかも尾根の方向は帰り道と逆方向なのでイナさんが心配そうにしている。 荷物を下ろして身軽になり林道の確認に出たところ、ほんの2〜3分ほど登ったところで山の神様を発見! やったぁ!! 山の神様は林道沿いにある、とのことなので林道は目の前だろう。 直ぐに荷物まで戻ってイナさんと山の神様まで、道無き道を登り切る♪ 神様到着は10時40分。
山の神様がこんな高いところにあるとは全く考えてもいなかったのでびっくり! 一度お会いしたいと思っていたので今回非常にラッキーだ! 神様にお参りをして、財布がないのでお賽銭代わりに飴玉をお供えし、出発! 山の神様から10m少々で林道に出る。 ここでやっと心配性のイナさんも安心したようだ。 林道を歩いて10分ほどで水のある沢に出る。 かなりの直登で喉も乾いていたのでここで水分補給だ。 う〜〜〜ん! 水が旨い!! ステンマグで2杯も水を飲んで出発だ。
大きくすり鉢状の沢を巻いている林道を進む。 この支流の沢のお陰で林道は大きく迂回しておりかなり距離を損している。 数ヶ所林道が崩壊していたが、イナさんも楽勝で崩壊場所を通り抜ける。 もうイナさんも山の名人だ。 11時20分には昨日谷に降りた場所に出て11時35分、ついに眼下に車を駐車した場所を発見する。 しかし、ここから先は注意が必要だ。 林道から道路に出る下り道を通ったことがないからだ。 イナさんに「必ず折口付近に目印があるから気をつけて歩くように」と指示をした1分後、目の前に赤テープを発見♪ 道らしきものは発見できないが、斜面も緩く地形から明らかに分岐点だと判断。 ここから道路へ下ることにする。 直ぐに獣道に出くわしてそのまま数分で無事道路に到着!! 

道路をヘタヘタと歩きながらイナさんが一言、「30分ってな〜〜!」 実は、山の神の下の滝まで(ウェーダーを持っていれば)30分ぐらいかなぁ〜、と話していたのだ。 まったく大嘘憑きのフラリーマン。 こんな大冒険になるとはフラリーマン自身も考えてもいなかった。 5年以上前の記憶なんてホント当てになりませんなぁ・・・ (x_x)☆\(ーー; ビシ!! とは言っても、初めての道で、地図、地形、各種情報から迷うことなく推測通りに歩くことができたのは経験の賜物だろう。
この後、四季美谷温泉で無事を祝い乾杯!! ゆっくり温泉で体を休め、アルコールを抜いて帰路に向かうのであった。