ツイストの原因

ツイストの原因は二つある。 一つはキャノピーが潰れて回転してしまうこと。 今回はキャノピーが潰れていないので当てはまらないだろう。 もう一つはエンジンの反転トルクで人間が回転してしまうこと。 今回はこれに間違いない。 TOP80の反転トルクは左向きなので、今回のツイスト方向と矛盾しない。
アクセルターンに入った時にエンジン全開であったため左への反転トルクが最大となる。 この時十分な傾きがあって遠心力が働いていれば問題なかったが、傾きが不足していたため遠心力が十分ではなく左側のハーネスに大部分の荷重がかかり右側の荷重が抜け気味になってしまったと思われる。 ここで右側のキャノピーがばたついたのだろう。 左右のハーネスの加重バランスが崩れたため、緩んだ右側のハーネスがエンジンの反転トルクで押されて食い込んでしまい、そこでくるりと一回転してしまう。 これがツイストに至った経緯だろう。
ここでツイストに気が付きエンジンの回転を落とす。 じんわりと90度ほどユニット側が右に戻ったところで、ツイストが解消されくるりと残りの270度分が一気に戻り復帰した。 ここで電線に絡む事を恐れて上昇しようとエンジンを回していたら更にツイストを大きくして墜落していただろう。 また、ちゃんとキャノピーの状態を確認した上で、ツイストした状態のままブレーク操作を行なって海岸側にゆっくりターンして海岸に戻ることもできたが、高度もなかったことから、そこまで冷静に対処することができなかった。 
ところで今回、自分ではツイストに入った際の360度回転と復帰の際の360度回転の記憶が無い。 自分では90度ほど左にツイストして90度ほど右に回って戻ったような感覚だった。 しかし、90度のツイストはありえない。 ツイストとして安定するためには、180度以上捻れなければならないからだ。 実際、複数の目撃者の証言では進行方向とパイロットの方向がほぼ一緒であったとのことなので360度前後回っていたのは間違いない。 すなわち、パニックに陥って自分の回転を記憶していないだけなのだ。
フラリーマンなりに目撃者の証言と自分のパラの操作を合わせてツイストの原因を考えてみたが、今回は気流の乱れによるツイストではなく、パイロットの過信による操作ミスが原因だ。 下降気流によるシェフの墜落は単なるシェフの不運であり、フラリーマンのツイストの原因ではない。